ドル/円相場は、79円台中盤まで値位置を切り上げている。リスクオンの地合を背景に米金利上昇圧力が強まる中、日米の金利差拡大を手掛かりにドル買い・円売りが先行している。足元の米経済指標に改善がみられることで、9月12~13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加金融緩和期待が後退していることが、米金利の上昇を招いている。欧州債務問題を巡る混乱状況が小康状態に陥る中、金利環境に対する関心が相対的に高まっている。
8月は、3日に発表された7月雇用統計を筆頭に、米経済指標の改善傾向が目立つ。直近1週間に限定しても、14日発表の7月小売売上高、15日発表の鉱工業生産指数、16日発表の住宅着工許可件数、17日発表のミシガン大消費者マインド指数などが市場予測を上回っている。他にネガティブな指標も散見されるが、マーケットでは、少なくとも9月FOMCで追加緩和を急ぐ必要性は後退したとの評価が優勢であり金利面からドル高・円安が促している。現在の日米2年債の利回り格差は概ね7月上旬と同水準であり、その意味では現在の79円台中盤は概ね適正ラインと見ている。今週は住宅関連指標の発表が控えており、それを手掛かりに米金利が一段と上昇すれば、7月6日以来の80円台乗せを試す可能性も十分にあるだろう。引き続き、金利動向に注目したい。
この流れが変わるとすれば、22日のFOMC議事録公開に注目している。同FOMC声明文では景気見通しの下方修正が行われており、そこでのFOMCメンバーの厳しい景気見通しや追加緩和に対する積極姿勢が確認できれば、米金利上昇に歯止めが掛かる可能性がある。イベントリスクの大きさを考慮すれば、ドルの買いスタンスは今週中盤で一服させ、様子見に転じるのが妥当だろう。金利低下圧力が確認できれば、逆にドルの戻り売りスタンスに妙味が高まることになる。
今後1週間の予想レンジは、78.75~80.00円。